クトゥルフクエスト・第二ラウンド:手がかりを求めて

EH・リプレイ1
EH・リプレイ1エルドリッチホラー
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前回のセッションでシドニーの探検遭遇カードが失われ、探検場所トークンは移動しました。
新たな場所はアフリカの奥地。
「アフリカ」と聞くだけでも、どこかワクワクしてきますが、さらに「奥地」ですからもうたまりません。
ほとんど知らない土地だという事が高揚感を煽っている気がしますので、実際に行けと言われたら躊躇する場所でもあります。
しかし、ほったらかしにしていると、ここの情報も失われかねません。

まだ、誰もクルートークンを手にいれていない中、不安ばかりが蓄積されてゆく…。
ぐずぐずしていられない探索者たちはさっそく動き始めます。

第二ラウンド開始時点・現在の助力カード置き場

第二ラウンド・現在のクエスト「深きものどもの攻撃」

第二ラウンド・現在の神話カード「古代の秘密」

 

アクション:手がかりを求めて

新米警察官 トミー
司書 デイジー
天文学者 ノーマン
政治家 チャーリー

手番はループしますので、前回と同じくトミーから始まります。

 

新米警察官 トミー

幸運にもクルートークンが二人のいるサンフランシスコに出現しています。
クトゥルフの復活を阻止できる手がかりが見つかるかもしれません。

トミー

ここで無駄な移動はできないな…。さっそく、手がかりを調べ…あれ? ケイン議員、目の下にクマが出ていませんか? お身体の具合が?

チャーリー

なんでもない。少々、強烈な取材を受けてね。それから私のことはチャーリーでいい。

トミー

分かりました。そうそう、チャーリー。あなたの事がサンフランシスコ・エグザミナー紙に…

 

チャーリー

忘れろ。ジャパンのモーニング・サン紙に匹敵する偏向具合で、読むより焚き付けに適している。

トミー

一体、何があったんだ…

実際に調べるのは遭遇フェイズですから、アクションフェイズでは調べた後のことを見越して動くことになります。
トミーは「集中」のアクションを選んで集中トークンを得ました。調べるといっても何があるか分からない為、準備に余念なく武器の手入れや移動手段の手配をした、といったところでしょうか。
また、手がかりを入手したらすぐに移動できるよう、船チケットも手に入れています。
トミーのアクションはこれで終わり。

 

司書 デイジー

デイジー

なぜか、最近ものすごく身の危険を感じる…。

妙な手記と謎の書物を見つけ、犯罪王とお話ししたのですから無理もありません。
そもそも司書が図書館にいなくていいのかという疑問をぶつけたところ、「コロナ禍ということでテレワーク…在宅勤務でございますのよ、オホホホホホ」との事でした。
世の中にはリモートワークで事足りる職種ばかりではなく、物流や接客など、命がけで生活を支えてくれる方々がいるんだなぁとしみじみ思い、感謝せずにはいられません。
まぁ、在宅勤務の司書はまずクビでしょうが…

ともあれ、じっとしていれば、いずれドールに追い付かれるでしょうし、手がかりも手に入りません。
常に動き続けることが生き残る道。
典型的な探索者らしい状況になってきたデイジーは、当初の予定通り上海に着きました。

6車線道路いっぱいに大量の自転車がひしめき走る光景は一昔前。
清潔感と高度成長に覆われた今は先進的な町並みで、高層ビルが立ち並んでいます。
一方で、人民街の瓦屋根も視界に入り、屋台で軽食をつつく昔ながらの光景も同居するという、欧米の人々がイメージする「いかにもアジア」な都市になりました。
夜になって雨でも降れば『ブレードランナー』の世界に見えなくもありません。

…と実際にweb会議の画面でつぶやいたところ、ノーマン役のプレイヤーに「ああ、『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』の世界だね、たしかに」とか言い出して、原作と映画の相違点から、最新作の『ブレードランナー2049』までを10数分に渡って語られたので、あまり余計な例えはしないように気を付けようと思います。

さて、新旧一体の珍しい絵面は観光客たちにスマホを構える場所を多く提供してくれるというのに、デイジーは景色を楽しむ余裕もないまま、最高速度400km/hを超える上海トランスラピッドで駅に着き、そのままホテルにチェックインしました。

デイジー

アンナと一緒になったのはいいけど、予算が厳しいわね。こういう時は「エクスペディア」で検索検索…。

メルキュール上海ロイヤルトン」に予め予約していたので、一泊なんと3,600円から泊まれます。前回、債務から解放される際にことごとく路銀を吐き出してしまったために安いホテルを探したのだそうです。エルドリッチホラーには所持金のパラメーターはないのですが、どこまでもリアルにこだわるデイジー役のプレイヤー。

ホテルに荷物を降ろした後は、アンナ・ティルトンと足での探索や調べものの予定を詰めて(集中トークン取得)、アクションを終わります。

デイジー

せっかく「東洋のパリ」と謳われた上海に来たのに…。これじゃあ仕事にしか興味がないビジネスマンみたいだわ。

ただコマを進めればいいだけなのに、わざわざ「磁気浮上式鉄道(いわゆる常電導リニア)に乗って…」とかロールプレイするあたりがデイジーっぽいと言えましょう。
ちなみに「東洋のパリ」なんて100年くらい前に言われた喩えなので、やはりBBAの可能性が…。

 

天文学者 ノーマン

ノーマンは元々、動かない方針です。それどころか通販で大量のカップラを仕入れ、外にも出ていません。ノーマン役のヒーマン(肥満)が言っているので確かです。
動かない方針というよりもひきこもりになっています。
ともあれ、彼は前回、手に入れた「古い手記」が気になっていました。「衰弱のカード」を手に入れてはいたものの、他にも何か得られるのではないかと踏んだようです。

ノーマン

ふむ…これは!? 何かの魔導書…いや古文書を書き写したもののようじゃな。ふむふむ…興味深い。興味深いが、あまりにも現実離れしておるわい。これは本格的に掘り下げて読まなければのぅ。

自室でのひきこもり生活がさらに悪化する瞬間を見た気がします。
不可思議なこと、人類が地球で最も影響力を得る前の文明など、一見してトンデモ本か気が触れている者が書きなぐったデタラメとしか思えないような内容を解読してゆくノーマン。

ここで【観察力】の能力判定。
結果は成功。

ノーマン役のプレイヤーはダイスを一つずつ振るスタイルなのですが(触れるだけのダイスを一度に振る人もいます)、これまでのところ、必ず最初の一つ目で「6」を出しています。
こういうタイプのプレイヤーは後半で「1」ばかりを出して、「お前のダイスは2~5がないのか」なんて言われているのをたまに見ます。ボードゲームやテーブルトークRPGなど、サイコロを振るゲームを多くしていると、ダイス運、クジ運、仕事運から恋愛運まで、人間には生まれついて持った運があるんだなぁと感じたりもします。と同時に、望まない目が出た時に「次は頼むよ、相棒」とダイスに話しかける人もいれば、床に叩きつけ、踏みつけて「この役立たずが!」と罵る人もいて、隠された人格を垣間見る事も…。
もっとも、目が良くても悪くても特にリアクションしない人がほとんどではあります。

それはともかく、好調なダイス目の結果、何が出たかといえば…。

「異界の星々」の文言から星の配列を組み合わせて読み解くことにより、この手記には外なる神ニャルラトテップの記述が多くあること」が分かります。

さすがは天文学者!
ってか「星の配列を組み合わせて…」で始まるカードを、偶然とはいえよく引けたものです。

デイジー

ニャルラトテップ!? 本当に存在していたなんて…

ノーマン

ナイアルラトホテップだの、ナイアーラトテップだの、ニャルラトホテプだのと時代や地域で地味に呼び名が変わっているがの。デイジー女史がそこまで驚くなんて珍しい事じゃて。

デイジー

それはもう! 最近で言ったら架空だと思っていたSCP財団が実在していて、サイレンヘッドやシャイガイが本当に隔離されていたって聞かされたようなものですわ!

ノーマン

す、すまん。さっぱりわからん。一応、「ニャ」で始まる危険なものを調べたところ『にゃんこ大戦争』が検索でヒットしたんじゃが…

デイジー

バカなの、このジジィ

ノーマン

今、失礼なこと考えなかったかの?

デイジー

いいえ、素敵なおじいさま(棒) ニャルラトテップは異名もたくさんあるんです。「闇に咆哮するもの」、「這い寄る混沌」、エジプトから来た預言者のような「ブラックファラオ」、星の智慧派教団の「ナイ神父」など、様々な姿や呼ばれ方をしている邪神ですね。旧支配者とも外なる神々の一柱とも判別できない有耶無耶な存在とも言えます。その手記では外なる神として扱われているようですが、他の旧支配者のように封印されていません。千の姿を持つと言われ、その千通りをすべて同時に地球上で存在できるとも…。

ノーマン

という事は『パイレーツ・オブ・カリビアン』もその姿のひとつじゃった!?

デイジー

ノーマン

ジョニー・テップ! なんつって。

デイジー

黙れ、イカレジジィ

ノーマン

今、失礼なこ…

デイジー

いいえ、抱腹絶倒のジョークでしたわ(棒)外なる神々、旧支配者たちの中では、自分から人間に接触する珍しい…いえ、唯一の存在かもしれません。人々を陥れてはほくそ笑むような印象がありますから、人間の歴史に干渉しているとも思えます。呪文や魔術、普通ではない知識や秘儀・秘法まで、ニャルラトテップから与えられたものは文明を進化させるレベルのものもありますが、受け取った本人は必ず破滅しています。科学技術や機械類そのものを与えることもあるようです。

ノーマン

機械類か…ハッ!? ハンググライダーやパラシュートの発明者が発明品で死んだと聞いたことがあるぞい! ニャルラトテップに扱いきれない物を渡されて…

デイジー

組立式の飛行機やロケットエンジンの開発者も、発明品で亡くなっていますが、このあたりは試作品の実験が失敗したのだと思います。

ノーマン

そ、そうじゃの…

デイジー

でも、スコッチ・メイデンという処刑装置を考えた人は、それで処刑された最初の人になったそうですよ。ギロチンによく似ていますが、ギロチンよりも古くからある斬首台です。ニャルラトテップが好きそうな展開だと思います。

ノーマン

おおっ! そういえばセグウェイの発明者がセグウェイに乗っていて川に転落したのも…

デイジー

亡くなったのはジミ・ヘゼルデンで、セグウェイを買収してオーナーになった人ですね。開発者はディーン・ケーメン氏ですから関係ありません。

ノーマン

これだからインテリは嫌いなんじゃ…わしなんてヒッキー生活60年。昼夜逆転したから暇にまかせて夜空を見上げていたら星に超詳しくなって、ラノベ風の論文書いたら「斬新ですな」とか言って、聞いたことない大学で学位をもらっただけの天文学者だというのに。

デイジー

その手記の持ち主ももしかしたら、ニャルラトテップと接触したのかもしれませんね。他の人と同じく破滅したから所有者が変わった…。

ノーマン

それをわしが拾ったという事か。誰かを呪いたくて、この世ならざるものに接触するとはなんとも恐ろしい話よ。じゃが、手がかりとなる部分は多くあったようじゃ。ニャルラトテップに比肩する旧支配者が目覚めようとしているのかもしれん。

 

ノーマン クルートークン×3取得

確信に迫りつつある探索者たち。
そもそも、プレイヤーはクトゥルフ復活を阻止するって最初から知っているのに、キャラクターたちは知らずに動いているというスタイルを貫くあたり、過剰なロールプレイとも、熱いゲーマー魂とも言えましょう。

『エルドリッチホラー』はこのように移動しなくても活躍できるシーンが多くあります。逆を言えば、どこにいても危険な状態になりえるので油断は出来ません。
なにしろ、触れてはいけない情報が身の回りにある危険な世界なのですから…。
はっきり言ってしまえば地雷だらけです。

さて、ここで探索者達が作戦会議を始めました。
ノーマンは今回得た情報を、ネットや電話でなんとか仲間に伝えようとしましたが、最新のデジタル機器を使いこなせず四苦八苦します。

ノーマン

すまんが、「とりみんぐ」って何かのう。あと「きゃぷちゃ」って何じゃ?

トミー

ええと、撮影した画像をですね、必要な部分だけ切り取る事なんですが…

ノーマン

ああ、銀塩写真のトリミングと同じじゃな。それなら分かりやすい。では、少し暗く写ってるのでRGBを調整して、ハイライトを濃いめにして送るわい。やはり23時過ぎが良いかの?

トミー

そのとてもキャプチャを知らないとは思えない画像加工をしたあと、すぐに送ってもらって大丈夫ですが。

ノーマン

ふぅ、高給取りは違うのぅ。わしはてっきりテレホタイム待ちかと思ったぞい。

トミー

いつの時代だよ、テレホーダイって…

ノーマン

解像度も落として「軽く」しておいたからさっそく送るぞい

トミー

いえ、良い機会ですから、一度、お会いしませんか。何しろ、かなり危険なことに関わっていますし“仲間”ですから。

クセのある手記を解読してひきこもり期間を終え、ノーマンは手がかりとなる情報を持って、サンフランシスコへ移動することにしました。
鉄道チケットを一枚消費。
1アクションでサンフランシスコへ移動が完了します。

 

ゲームとしては2マス動かすだけですが、実際には2700マイル(4300km以上)はありますので、『エルドリッチホラー』本来の鉄道で向かえば数日を費やすことになります。
プレイヤー達は「無理のない範囲で現代版に」としているので、ノーマンは鉄道チケットを消費しながら飛行機で移動した事にしました。
それでも6時間前後かかります。

例によってロールプレイで、食べられる場所か、飲める場所か、ホテルのロビーででも集合するんでしょうが、それはまた後の話。

 

政治家 チャーリー

政治家チャーリーもトミーと同じくサンフランシスコから動きません。
足元に手掛かりがあるとわかった今、移動するのは得策ではないと考えたのでしょう。
じっくりと遭遇フェイズを待つことにしました。

アクションとしては助力カードを得ること。
これはもう、チャーリーの得意分野です。
例によって馴染みの古物商へ足を運ぶチャーリー。

チャーリー

ふむ、相変わらずのジャングル陳列。ジャンク屋のような雰囲気。政治家としてではなく、一個人として来るから余計に楽しいのかもしれんな…どれどれ。何か掘り出し物は…ん? ナイフのような剣のようなこれは何だ…

古物商「キングダム・オブ・パーチェスへようこそ! ひっひっひ…旦那様は玉石混淆の中から“玉”を見つける才能がおありのようですな。クリスともダマスカスとも思える刀身の模様は、然るべき時には翡翠(ヒスイ)のごとく輝くのだとか」

チャーリー「翡翠…ジェダイトのことか」

古物商「おお! お詳しいですな」

チャーリー「国民の為に血肉を注ぐかは別として…いや、別物では困りものなんだが、いわゆる成功者の多いの業界だからな。ジェダイトは不老不死、生命の復活を司る石として有名だよ。アジアでは、どんな宝石よりも価値が高いという国もあるらしい」

古物商「これは持つべき人が持てば仇する者たちを退けるのに大層、役立つでしょう。持ち主の魂の力を引き出してくれるとの事ですから」

チャーリー「ふむ…エンパイアステートビルでも買えそうな売値であろうな」

古物商「今ならアメリカドルで、たった2,000ポッキリ…」

チャーリー

買った。支払いはアメックスで。

漆黒のクレジットカードを出す(そぶり)のチャーリー(のプレイヤー)。ブルジョアはこれだから嫌いです。
あれほど値切れと言ったのに…。
ともあれ、肉付きのいい身体と葉巻がよく似合うチャーリーは、持っているだけで年間17万円近くが飛んでいくアメリカン・エキスプレスのプレミアム・カードでお買い上げ。

ノーマン役のプレイヤー演じる古物商もアイコンを付けたいくらいのハマり役で、いつの間にか店名まで付けやがりました。
こうしてチャーリーは「魂の短剣」を手に入れます。

もっとも、彼はこれを自分で持つつもりはないようです。
彼、独自の特殊アクションにより、「魂の短剣」がデイジーの手に渡りました。

web会議の画面越しに「渡したよ」と一言で済むところをあーだこーだやるのが、テーブルトークに慣れた(慣れ親しみ過ぎた)プレイヤーの常ですから、ここでも寸劇がありました。

ホテルの従業員から「ミズ・ウォーカー。ミスター・ケインからお届け物です」とノックを3回されたデイジーは、何も言わずに覗き穴を確認してから受け取ります。
犯罪王に会って以来、彼女はオートロックも従業員も信用しなくなったようです。
もちろん、ホテルマンはノーマン役のプレイヤー。

デイジー

なんか凄いのが届いた…電話でお礼を言っておこう。
Prrrrrrrrrrrr…ケイン議員? 不思議な光を放つ短剣が届きました。私が持っていてよろしいんですか?

チャーリー

ああ、気にしないで使ってくれ。今のところ、あちこちを飛び回っている君が一番、必要になると思ってね。もちろん、使わないで済むに越したことはないだろうけどね。

デイジー

ありがとうございます。でも、こんなに高価そうなものを…

チャーリー

いいんだ。旅の無事を祈っているよ。それから、私の事はチャーリーと呼んでくれたまえ。

戦闘を避けたいタイプの彼女にとっては、護身用として役立つアイテムとなることでしょう。
なにしろ、このゲームは街にいるから安全ということはなく、一方的に相手から襲われることもあるのですから。
また、一口に短剣と言っても、訳される段階でカテゴリーがめちゃくちゃになるので、ナイフやダガー、果てはショートソード大の物まで様々です。
ゲームとしては何の制限もなく、時代背景が1920年代なら何でも持ち歩けるでしょうが、飛行機に乗る現代ではどうなんだろうという話が出ましたので、ここでは「しっかり梱包しておけば土産物としてカーゴルームには積める、または機長預かりで運べるが、機内持ち込みは出来ない」のではないかという結論に至りました。

一枚のカードを渡すだけで、ここまであれこれと話が広がるあたり、プレイヤー達がリアル探索者に見えなくもありません。

そして、チャーリーが行なった2つ目のアクションは、「追加で他の探索者にアクションを起こさせる」という特技です。
今回は、ノーマンが急遽、手がかりを持ってサンフランシスコまで来てくれたので、情報交換できるホテルをチャーリーが用意したと言ったところでしょう。

チャーリー

やあ、ウィザーズ博士。スマホのビデオ通話で申し訳ない。あなたの論文は読ませてもらいましたよ。なんと言うか…実に“斬新”でしたな。

ノーマン

わし、博士号持ってないんじゃが…修士はおろか学士もギリだし

チャーリー

ホテルは秘書に用意させております、安宿で申し訳ないですが。住所はこの通話が終わり次第、メールの方へ。旅の疲れを癒してもらいたいところではありますが、まずは情報交換を急いでいただかないと、どうやら世界中に不穏な空気が蔓延しつつありましてな。

ノーマン

ケイン議員、わしも激しく同意じゃよ。『セサミン』飲んだから疲れも癒えておるゆえ、すぐにホテルへと向かいますぞい。

チャーリー

ウィザーズ博士、私は仕事で一緒にいられないが、トミーとあとの事をよろしく頼みますぞ。それから私の事はチャーリーと。

ノーマン

ぐっもーにんチャーリー♪

チャーリー

それは『チャーリーズ・エンジェル』ですな。そして、あなたはエンジェル諸君とはほど遠い…。では失礼。

ノーマン

めちゃスベったわい…

ノーマン

うぉぉぉぉ、ヤバイよヤバイよ! 部屋が豪勢すぎるって。有名人がよく泊まるホテルじゃんココ。リアルガチで超高級ホテルじゃん!

トミー

ド、ドクター・ノーマン?

ノーマン

すまん、少々血迷ってしまったわい。ボストンの片田舎とはえらい違いでのぅ。TVでしか見たことがないホテルだったもんじゃから…

トミー

僕も初めて来ましたよ。安月給の警察官には縁のない場所です、ハハハ。

ノーマン

ところで、この歯ブラシ持って帰っていいのかのぅ。

トミー

大丈夫です。

ノーマン

バスローブはいいかの?

 

トミー

ダメです。個別に包装されているアメニティ以外は、持ち帰るとあとで請求が来ますよ。

ノーマン

トミーは詳しいのぅ。ひょっとして、このホテルのベルボーイかなんか…

トミー

SFPDの警察官だって言ってるだろ、ボケジジィ

ノーマン

今、失礼なことを考…

 

トミー

まさか!…情報交換しましょうか。

ノーマン

うむ。そうじゃった。これじゃよ。この手記のここ。わしの持っている星図の位置と似ている事に気付いたんじゃ。

トミー

たしかに…。

ノーマン

手記にある地域の地図がこれじゃ。『グーグルマップ』で拾ってきた。文字や地図記号が邪魔しているので、『グーグルアース』で拾ってきた画像がこれじゃ。照らし合わせてみれば、星図と地形が一致すると思うんじゃ。

トミー

比べて見るかぎりではかなり似ていますが…

ノーマン

左右に並べただけでは確実性に欠ける、と。さすがは警察官じゃの。それでは、星図と地形を透明フィルムに印刷したものがこれじゃ。重ねると…。

トミー

縮尺を合わせたとは言え、位置は完全に一致しますね。とてもトリミングを知らなかった人とは思えない分析方法ですが。

ノーマン

一昔前は飛行機の中が便利になり過ぎて、電子機器が離着陸の安全を脅かす存在になった。その10年前には飛行機の中から電話が出来るようになったと騒いでいたのに。科学は日進月歩じゃて、CAさんに頼めばプリントアウトくらいはしてくれるわい。

トミー

(ただのおじいちゃんじゃないってことか…)
これを見ると、過去にニャルラトテップが現れた場所は、先日、深きものどもが出現した事にも関わっていたみたいですね。

ノーマン

そういうことじゃ。この件、奥が深いぞ…

トミー

新米警官には責任重大過ぎて、胃が痛くなりそうですよ。

ノーマン

手がかりさえ集まれば解決できそうだ。と、お前さんの顔に書いてあるようじゃが?

トミー

そんな事が書いてありますか。こりゃ長いヒゲで隠さないとな…

ノーマン

ふぉっふぉっふぉ。のぅ、トミーや。

トミー

はい。

ノーマン

今や世界は危機に瀕しておる。わしは確信した。おぬしは礼が言えるし、挨拶もできる。ジョークもなかなかじゃ。迫りくる恐怖を前にして、なお、平静でいられるのは容易な事ではない。じゃが、覚えておけよ。若さも、礼儀正しさも、法の番人たる警察官であるという事も、貫こうとしている正義には無関係じゃ。

トミー

僕はそれらが全て必要だって言われると思っていました。

ノーマン

世界を救うコツはただひとつ。生き残ることじゃ。

トミー

ノーマン

生きるか死ぬかになったら、何としてでも生き延びてわしやチャーリーにバトンタッチするんじゃ。老いた者から死ぬべきじゃて。

トミー

いやいや。弱者を守るのは僕たちの職務です。それに世界の危機に気付きはしましたが、命がけになるってまだ確定したわけでは…

ノーマン

海岸に死体が山積みになっとったようじゃが。

トミー

これはますます責任重大だな…

青臭い若造とボケジジィを装ったベテランの会話。
熱いですね。
キマってます。
映画なら序盤の盛り上がりのひとつになるかと。

これ、実際にはWEBカメラ越しに船のチケットトークンを見せたノーマンが、トミーに「チケットトークンあげるよ」と言いながら、突然、始まったロールプレイです。

長いから!

ちなみにノーマンは髭を伸ばし過ぎてるのを気にしてて、ホテルの髭剃りを持って帰ろうだの、その髭はカミソリよりもバリカンの方がいいだの、余計な会話は全部カットしました。

このやり取りの間に、チャーリー役のプレイヤーが突然ムセて、『モンスターエナジー・パイプラインパンチ』を吹き出すなどのアクシデントもありましたが、それもカットです。
web画面上ではかなり面白かったのですが、たぶん夜中のテンションだったから面白かったという結論に至りました。

脱線しつつも、こうしてクルートークン ×2 がトミーの手に渡りました。
要するに、高級ホテルでの情報交換はクルートークンを渡したというアクションだったのですが、ノーマンは先ほど3枚入手しています。

全てを渡さなかったのは、何かの時のためというプレイヤーの判断です。
突然、持っているクルートークンを全て失う、持っていたキャラクターが死亡する、などのカードを引くこともあるので、リスクを分散させたようです。
これで全員のアクションフェイズは終了しました。

 

遭遇:次の手がかりはサンフランシスコから

トミーの遭遇

このセッション初のリサーチイベントカードを引きます。
対応するエンシェントワンに合わせてそれぞれ用意されているリサーチイベントカードは、貴重なクルートークンを得るための道筋です。

サンフランシスコ公共図書館にて。

サンフランシスコ公共図書館・photo by J. Ash Bowie

吹き抜けが特徴の巨大な図書館には、受付で聞き込みをする警察官トミーの姿がありました。

このあたりは映画『パブリック 図書館の奇跡(2020.7.17公開)』の舞台にもなった場所ですから、舞台背景や雰囲気を楽しみたい方は、プレイ中に画像を見て想像するのがオススメです。
脳内で想像するに留めないと、ボードゲームを媒介したテーブルトークになってしまうのですごく時間がかかります。

この時も…

司書「お探しの本はマーシュさんという方に貸し出し中ですね。返却期間を過ぎていますが、ずっと返してらっしゃらないようです。警察がなぜそんなことを?」

トミー

やはりそうでしたか。実はマーシュさんが犯罪に巻き込まれたようでして…本を返しに来れる状態ではないようなのです。彼の足取りを掴むために、ご協力願いますか?(警察手帳を見せる仕草)

こんな感じでロールプレイが入ったのですが、プレイヤーたちには珍しくツッコミどころ満載です。
警察手帳を見る前に警察官だと見抜く司書。
いきなり犯罪に巻き込まれた事を言って守秘義務を放棄するトミー。
プレイしているのは夜中ですから、たぶん、この2人もう眠いです。

そんなわけでこのブログは、夜に部屋を暗くしてから見ると一緒にプレイしている気分に浸れるかもしれません。

さて、トミーは観察力の能力判定で成功。

司書が貸出リストの登録者情報からマーシュの住所とおぼしきものを見つけた事になります。
ラブクラフティアンにはお馴染みとなる名前です。

クトゥルフ、深きものと来て、マーシュの名前が出てくれば、もうオーベッド・マーシュとマーシュ精錬所を連想すると思いますが、そこは知らんぷりしてプレイするのが『エルドリッチホラー』でのお約束。

住所を辿るも、そこにはすでに住んでおらず、居場所を転々としている事が伺えました。
トミーはおそらく署のインフォーマント(情報提供者)・データベースにアクセスして足取りを追ったのでしょう。

サンフランシスコ内にあるホテルに滞在しており、チェックアウトしていないことも突き止めます。
マーシュの事を調べれば調べるほど「まともではない」市民だと分かってきたので、トミーは非常手段に訴える事にしました。
完全な違法捜査ですが、こういう時だけバッヂを外して探索者だからと言い切るあたり、彼も只者ではありません。
要約するとマーシュが留守の隙に、ホテルの部屋へ押し入って目的の書籍を奪取しています。

ここもプレイヤーがロールプレイしていたのですが、不法侵入が鮮やか過ぎて、詳細を書くとブログが閉鎖される恐れがあった為、全面カットしました。

クルートークン ×1 取得。

これで彼の持つクルートークンは合計3つになります。トミーは戦闘力や体力が高いので動き回るには十分となりました。次のラウンドからは、不可思議な事件解決へ向けた活動になることでしょう。

 

デイジーの遭遇

デイジーは上海に到着しているので、リサーチイベントカードを得ることができます。
出てきたのはこちら。

上海で調べものをしていたデイジーは、机でうたたねした時の夢の内容を忘れない内に協力者のアンナ・ティルトンに話した(思い出しやすくなった)という設定で振るダイスの数が+1。
何とか成功。
アンナ・ティルトンがいなければ失敗していたかもしれない、というくらいギリギリの目でした。
彼女と引き合わせてくれた犯罪王に感謝すべきかもしれません。

アンナ「ち、ちょっと大丈夫? デイジー!? しっかりして! 気をたしかに」

デイジー

大丈夫…ちゃんと夢の内容を思い出したわ。私は正気よ。マーフィー博士が言うように、人類は夢から様々なヒントを得られたというのは本当ね。これはベンゼン環の構造にも匹敵する大発見だわ。すぐに調べましょう!

デイジー、見かけによらずタフです。
もっとも「私は正気」と言う人が正気だったためしはありませんので、ちょいおかしくなっている可能性は否定できません。

アンナ「あなたの、そのガッツには敬服しますよ。ミス、デイジー」

いかつい物言いのアンナですが、これは例によってノーマン役のプレイヤー扮するいかついアンナなので仕方ありません。

こうして、彼女はうたた寝するだけで2つのクルートークンを得ることができました。
デイジー クルートークン ×2 取得

 

ノーマンの遭遇

次にノーマンの遭遇です。
移動したとはいえ、都市名が変わっただけでやっぱりアメリカ国内にいるので、「アメリカ遭遇カード」を引きます。

ノーマン

さて、せっかくサンフランシスコにまで来たんじゃ。少し気になる場所を散策しようかのぅ。

一見、お散歩のプランを練っているおじいちゃんですが、そこは探索者のノーマン。
今まで集めた情報から、この町にある海岸線が気になっていました。
海に面したそこは、どこにでもあるようなリゾート地です。
トミーと話していた時にふと出た「海岸線」はここを指していました。
わずかな手がかりから、もうひとつ怪しいポイントを割り出していたのです。

ノーマン

海岸に面している坑道とは…怪しいのぅ。トミーは走り回っていて忙しいじゃろうからな。わしのような老いぼれでも少しは手伝わんとの。それにしても怪しい坑道じゃ満潮時には海水が入ってくるのか? 怪しすぎる。怪しい香りがぷんぷんするわい…って、臭っ!!

彼が強烈な異臭を辿っていくと、巨大イカのような皮の破片を見つけます。
異臭を放つので、そのままホテルに持ち帰るわけにもいかず、かといって、放っておいたらどんどん劣化していく気がします。

ノーマンは近くのレジャー施設でクーラーボックスを購入し、封をしてミスカトニック大学の研究室に送りました。

これは後日談ということになりますが、この巨大イカのような皮は、クトーニアンの外皮の一部であるとミスカトニック大学の研究室から連絡が来ました。
クトーニアンはイカに似たモンスターです。
実はクトゥルフ配下なので、海に関連する従属種族が多い中では珍しい地底種族になります。
かつてアフリカの都市に封じ込められていたので、元々は水棲生物で、たまたま地中を掘り進む事が可能になっただけかもしれません。

いわゆるクトゥルフモンスターは、由来や生態がはっきりしないので、こうした憶測をわいわい言い合えるのもちょっとした楽しみになります。

探索者や研究所員にしてみれば楽しみどころではないのでしょうが、見つけてしまったものは仕方がないとばかりに徹底的に分析したところ、固い外皮は剥がれたり、取れるようなものではないと分かりました。
おそらく幼生の時か、何らかの時期に皮膚が弱って取れたものだろうという推論が、ノーマンの元に届きます。

研究室から分析・研究を継続したいという要望を聞きましたが、ノーマンは自然界に反する化け物の皮は早々に処分したいと考えていました。
処分するしないで押し問答が続いた後、研究所側が謝礼は弾むと提示してきて交渉が始まります。
何かと資金が必要な探索者(世界規模のボランティアみたいなもの)なので、ノーマンは交渉に応じ、その経験が「影響力」を伸ばしてくれたようです。

ノーマン 影響力 +1。

 

チャーリーの遭遇

トミーが失敗した時のために待機していたチャーリーですが、彼が無事にクルートークンを得た事を知って、リサーチイベントへの挑戦が必要なくなりました。
そこで、アメリカ遭遇カードを引きます。

しかし、チャーリーはジャック・マニオン警部の探している “中華街のトング” に関する手がかりとなるものを持ってはいませんでした。
よって、チャーリーはなにもないまま遭遇フェイズを終わります。
何もないのがなにより。
探索者にしか味わえない、束の間のひと時と言えるでしょう。

彼は秘書にこう言っています。

チャーリー

前回、酷い目に合ったからな。妙なものと遭遇するより、何もない方がよほどいい。平和が一番。そう思わんかね、チミ?

現実では人種差別問題に、COVID-19に、オバマゲートに、次期大統領選と忙しいアメリカですが、チャーリーにしてみれば、世界の裏で起きている危険に比べたら、どうという事はないようです。

束の間の平和が続くのか、乱れるのか。
2回目の神話フェイズへと入ります。

 

神話:募る狂気の噂、古代魔術師の夢にうなされるトミー

出てきた神話カードはこちら。

まず、クルートークンが2つ。東京とツングースカに出現しました。
デイジーが東京の近くにいます。
ツングースカはいずれトミーが訪れる予定で、ゲートを封印しつつ、ついでに手がかりを得ようと目論んでいます。

そして、アーカムの南にある小さな島。8番マスに噂トークンが出てきました。
8番マスは元々、超自然トークンが置いてあった場所です。1度の移動で2つの用事をこなせるので、効率は悪くありませんが、カードの内容は良くありません。

 

<「募る狂気」の内容>

まず、この神話カードの上に超自然トークン × 4つが置かれました。
同時発生効果の赤印が出るたびに、リーダーであるトミーは狂気の状態カードを持つことになり、同時にカード上の超自然トークンを減らしていきます。
超自然トークンが0になると、たとえ噂を解決したとしても、探索者全員に正気度-3がプレゼントされます。

できれば、そうなる前にこの噂を解決…つまり、事実確認して真実を暴きたいものです。

そして、トミーが引いた最初の狂気カードはこちら。
パラノイア。
絵面からして危険満載です。

トミー

う、うわあああああああ!

悪夢にうなされるトミー。
パラノイアですから、まったくの他人が自分と関係ない行動をしているのに、どこか脅迫的な敵意を感じたり、意図的な悪意を感じ取るようになっています。
銃社会の警察官という事で、意外にリアルな狂気に陥りました。

持っているカードの枚数分だけ神話カード上の超自然トークンが差し引かれますから、さっそく1つ引かれて、残りが3つ。
そして、同時発生効果の赤印が神話カードにありましたので、他の効果も発動。

まず、ドールがデイジーを追いかけてイスタンブールまで来ました。
地下を潜ってきているので人目には触れません。
ニュースと言えば、各地で地震が起きている事くらいです。
まさか移動する震源地の正体が、巨大ミミズだとは誰も思わないことでしょう。

デイジー

地震に追いかけられてる気がするんだけど…そんなことないわよね。あははは…。

見方によっては、トミーのパラノイアよりもヤバそうな発言です。
ついさっき「私は正気よ」とか言ってましたし。

次に「古代の秘密」の同時発生効果により、アフリカ奥地の探検遭遇カードが全て失われました。
探検遭遇カードがセッティングされている場所は残りあと、13箇所。

今のところ、クトゥルフ復活に向けた破滅トラックは全く動いていませんが、復活を前にして世界が破滅する可能性が出てきました。

こうして、全ての効果が発動されました。
取り急ぎ解決しなければいけないクエストは幾つもあります。
立ち止まることは、すなわちこれ破滅。
しかも、優先順位はどれもほぼ同じ。

そう。
まさにこれが探索者たちの戦いなのです。

一切、気付かなかった事にするか。
声が枯れるまで悲鳴をあげて、世捨て人になるか。
自然現象が超常現象に見えただけ。まるで陰謀論か何かのようにありえない事だと日常生活に戻るか。

実際には、これらがほとんどだと思います。

しかし、探索者たちは違います。

トミー・ノーマン・デイジー・チャーリー
面白くなってきた。

 

 

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